パリの同時多発テロは、選手や観客の安全確保の面でスポーツ界にも不安を投げ掛ける。

 日本卓球協会は16日、女子の伊藤美誠(スターツ)選手らが出場を予定するフランスでの世界ジュニア選手権開幕を29日に控え、情報収集に追われた。

 前原正浩専務理事は「国際卓球連盟に昨日問い合わせたが、フランス協会と連絡がついていないとのことだった。選手の安全が一番大事」と話し、派遣か否かの結論を近日中に出す方針を示した。

 16日は、中止されたフィギュアスケートのフランス杯から日本勢が帰国し、男子の宇野昌磨選手(愛知・中京大中京高)は「日本に帰ることができて良かった」と安堵(あんど)の表情を浮かべた。

 全日本テコンドー協会は中止となった14、15日の国際大会に向け、パリに滞在していたジュニア選手ら19人全員の無事を確認。大半は17日に帰国予定という。

 日本体操協会は当面、パリ経由の航空機での選手らの移動を避ける方針。

 全日本空手道連盟の日下修次事務局長は来年1月のパリの国際大会派遣について「外務省や日本オリンピック委員会(JOC)と相談して判断したい」と話した。

 フランス国内ではバスケットボールやラグビーなどの大会が中止になった。同国は来年6月に24カ国・地域が参加し開幕するサッカーの欧州選手権で、他国からファンが押し寄せる中での警備という難題に直面する。付近で自爆テロがあったパリ近郊サンドニのスタジアムも会場に予定され、大会組織委員会は「安全確保を最優先課題」に取り組む姿勢だ。