世界8位の錦織圭(25=日清食品)が、世界王者で同1位のジョコビッチ(セルビア)に1-6、1-6の完敗を喫し、1次リーグ黒星発進となった。

 完敗だった。そう言わざるを得ない。八方手を尽くしたが、王者の壁はびくともしなかった。錦織も「ショックは大きい。すごく差を感じた」。錦織のツアー本戦362試合でも、合計2ゲーム以下しか奪えなかったのは、過去2回しかない。

 ただ、全米以降指摘されていた攻めが遅いストロークに速めの展開力が戻り、ジョコビッチを棒立ちにさせる場面もあった。「最高ではないが、攻めるとこは攻めた」。ただ、いいショットを打っても「(相手が)守りながら攻撃のような返球をされた」ことが、ショックを倍増させた。

 第1サーブの確率が53%と低かった。加えて、第1サーブが入っても、得点率は43%。「簡単にサーブでポイントを奪えないのがプレッシャーになった」。ただ、第1サーブの確率が高くとも、完璧とも言えるこの日のジョコビッチに勝つのは難しかった。

 ただ落ち込んではいられない。次戦は、今日のベルディハ(チェコ)戦だ。通算3勝1敗と相性はいい。強烈なサーブが武器だが、今大会のコートは球足が遅い。「(ジョコビッチとは)タイプが違う選手。対応していきたい」。まずは1勝1敗のタイに戻し、最後のフェデラー戦に1次リーグ突破をかける。【吉松忠弘】