世界8位の錦織圭(25=日清食品)が同6位のベルディハ(チェコ)に7-5、3-6、6-3で勝ち、1次リーグA組で1勝1敗とした。昨年に並ぶ年間自己最多タイの54勝目。しかし、同3位のフェデラー(スイス)が同1位のジョコビッチ(セルビア)に勝ったため、錦織の自力での1次リーグ突破はなくなった。19日午後2時(日本時間同午後11時)以降に始まるフェデラー戦に勝ち、ジョコビッチがベルディハに敗れた場合のみ、2年連続の4強入りが決まる。

 勝利への飽くなき欲求が錦織を突き動かした。最後は徹底したディフェンスで、相手の攻撃を拾いまくった。8月の全米でまさかの初戦敗退以降、トップ10相手に3連敗。この日の好機を逃すわけにはいかなかった。「いいテニスもできて、次につながる試合だった」。勝利の瞬間、久しぶりに右手を突き上げた。

 全米以降、勝てそうで勝てない試合が続いていた。「どこかでモヤモヤ感があった」。しかし、この日は第1セットで1度もサービスゲームを落とさず、大事なポイントも取り切れた。最終セットまでもつれたが、最後は勝ちきった。「これが(復活の)きっかけになればいい」。

 次戦は今年最後の試合になる可能性もある。「最も好きな選手」というフェデラーが相手だ。準決勝への道は厳しいが「去年、ここでやられているのでリベンジしたい」。とにかく勝つしかない。【吉松忠弘】