来年のリオデジャネイロ五輪出場権にあと1歩に迫るラグビー女子7人制の日本代表は24日、会場となる東京・秩父宮ラグビー場で練習を行った。香港大会で優勝し、アジア予選をリードする日本代表は、トライを期待される山口真理恵(26=ラガール7)らが集中力を高めた中で、秩父宮の芝生を踏み締めた。日本大会は28日から29日にかけて行われ、香港大会と日本大会の合計ポイント最多1チームが五輪出場権を獲得する。

 コーチが蹴り上げたボールを、山口はタッチ際で何度もキャッチした。練習開始時の秩父宮は18度、快晴、ほぼ無風の好条件の中で、緑のピッチを女子チームが独占した。全体練習後、山口はタッチラインでボールを受け、一気に走り抜けるイメージを膨らませた。50メートル6秒6の快足で、トライを思い浮かべながら、軽やかなステップを踏んだ。

 山口 お客さんには、トライを取るプレーや、トライにつなげる姿を見てほしいです。今はまだ女子のラグビー人口は少ないですけど、どんな形でもボールに触れてくれたら…。ラグビーはランニングしながらの対人プレーの衝撃があって、そこはレスリングや柔道と違うところです。でも、やってみると意外と大丈夫です。

 頭にあるのは女子ラグビーの普及。23日の早慶戦は秩父宮に1万8000人を集めた。その熱気を28日、29日の試合当日にも再現したい。そのためには、秩父宮で山口がトライし、五輪出場権をつかむしかない。

 香港大会では4トライ。日本大会でもエースに期待がかかる。それを重圧に感じない強さは、年間200日の練習で培ってきた。「私はあまり泣かない方ですが、みんながいろんな涙を流してきました。砂浜でのタックルとか、フィットネスとか。男子のエディージャパンも練習はものすごかったですが、私たちも量、中身の濃さは、語り切れないものがあります。練習のおかげでメンタルが強くなりました」。159センチの小柄ながら、シャープな走りで果敢に挑む。順調な仕上がりで本番を待つだけだ。【井上真】

 ◆山口真理恵(やまぐち・まりえ)1989年(平元)10月22日、横浜市出身。小学生でタグラグビー(ひもをつけて行うラグビー)に出合う。寛政中ではラグビーを続けながら陸上部に所属。200メートルで県の強化選手に選ばれる。横浜立野高2年で日本代表に初選出。オーストラリアの専門学校を経て、帰国後にラガール7に所属。159センチ、58キロ。

 ◆ラグビー女子のリオ五輪アジア予選方式 すでに終了している香港大会と28、29日の日本大会の順位ポイントで合計1位のチームに出場権が与えられる。6チームが参加し、1次リーグと順位決定戦を実施。1試合の勝ち点は勝ち3、引き分け2、負け1、棄権0。各大会の順位ポイントは1位6点、2位5点、3位4点、4位3点、5位2点、6位1点で、香港大会で優勝した日本は、6ポイントを獲得している。