フィギュアスケートのグランプリ(GP)シリーズ最終戦、NHK杯は今日27日に長野ビッグハットで開幕する。羽生結弦(20=ANA)は26日、会場での公式練習で、4回転ジャンプを2本組み込んだ新しいショートプログラム(SP)を披露した。高難度のプログラムで、自身が持つSP史上最高得点超えを視野に入れる。今大会で3位以内なら3連覇がかかるGPファイナル(12月・バルセロナ)出場が決まる。

 羽生が温めてきた新SPを、練習で披露した。まず冒頭の4回転サルコーを成功。続く4回転+3回転、基礎点が1・1倍となる演技後半のトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)と3度のジャンプをすべて決めた。SPで2度ジャンプを失敗したGP第2戦スケートカナダから1カ月。「一生懸命練習してきた」と話す自身最高難度のSPで、勝負をかける。

 シーズン前半で構成を変えるのは異例だが、自らスケートカナダのフリー後にオーサー・コーチに申し出た。理由は「感覚として、まだ挑戦できると思った」。これまでは将来的に2本組みこむことを見据え、4回転1本を演技後半に入れていたが、それを2本にする。コーチも「もう、2回やるのか」と驚いた。

 背景には男子フィギュア界の“ジャンプ革命”がある。今大会に出場する18歳の金博洋(中国)は、今季の中国杯で4回転ルッツ-3回転トーループという史上最高得点の連続技を決めた。金は今回もSPで4回転を2度跳ぶ見通し。SPで4回転を2回以上求められる時代が、そこまで来ている。「ジャンプの難度だけではない」と羽生は言うが、平昌五輪での連覇を見据え、今から挑戦したい気持ちが芽生えたとみえる。

 ショパン「バラード第1番」での2季目のSP。ジャンプを変えても「自信をもってやっていける」と手応えがある。精度を上げれば、自身が持つソチ五輪SPでの歴代最高得点101・45点を超える可能性も見えてくる。【高場泉穂】

 ◆GPファイナル進出条件 6大会あるGPシリーズで、出場2大会の合計ポイント上位6人がファイナル(12月、バルセロナ)に進出する。パリ同時多発テロによってSPのみで打ち切りとなったフランス杯に出場した選手が7位となった場合は、特例措置としてファイナル出場が認められることになっている。