ラグビー、トップリーグ神戸製鋼が27日、29日のNTTドコモ戦(神戸ユニバー)メンバーを発表し、フランカーの中島ヴァカウタイシレリ(26)がトップリーグ初スタメンを飾ることになった。

 中島は今季NECから加入したリーグ4年目。ここまでの2試合は途中出場だったが、第3節で大役が巡ってきた。この日の神戸市内での練習後に「うれしいね。ポジションがいろいろ(フランカーとロック)だから緊張しているよ」と、流ちょうな日本語で心境を明かした。

 スタメン抜てきの最大の要因は大減量にある。トンガで15歳の時にラグビーを始め、18歳で来日。流経大では1年次から活躍も、140~150キロあった体重が時にネックとなった。NEC時代の度重なるケガもあり、神戸製鋼加入後も減量を実践。現在は118キロと30キロ近く体が絞れた。「昔は晩ご飯を食べてから寝るまでに、2回ぐらいご飯を食べていたよ」。多いときは一晩で3度とっていた食事だったが、現在は午後8時までの完了を心がける。今季から指揮を執るクッツェーヘッドコーチ(HC)からは常々「フィットネスが上がればスタメンがある」と言われてきた。期待通りの姿で、見事に先発を勝ち取った。

 昨年4月には日本人女性と結婚。「日本に来てから、日本人と結婚したいと思っていた。国(トンガ)に戻る予定もないし、ずっといるつもり」と日本への強い愛着を口にする。8月には日本国籍を取得し、夫人の名字である「中島」がそれまでの「ヴァカウタ・イシレリ」に加わった。外国人枠の懸念材料も消えたため、アピール次第ではダークホース的存在になりそうだ。

 持ち味は186センチ118キロ(公式は120キロ)の巨体を生かした激しいコンタクトだ。NTTドコモはフィジカル面を武器とするだけに、クッツェーHCも「強いフィジカルを生かして、ボールキャリアーとして前に持っていって欲しい。ディフェンスでも、強いアタックに対して力強いパワーで止められる」と期待を寄せる。現在は単身赴任のため、夫人は関東在住。前節の22日NEC戦(柏の葉)では、初めて見に来てくれた妻の前でトライを決め、中島のモチベーションは高い。「激しいコンタクトを見せていきたいね」。新天地でのブレークへ、重要な一戦になる。