自分が撮った写真が、シャンソン化粧品が抗議する「証拠」になって驚いています。

 53-53で残り3秒3でした。手元には、2台のカメラがありました。1台に70-200の望遠ズームレンズを、もう1台に24-70の標準ズームレンズを装着していました。最初は選手に望遠ズームレンズを合わせ、迫力あるラストワンプレーのカットを撮ろうと思いました。ところが、「見えないところで何か起こるかも。シュートが決まって他の選手の喜んだ表情も収めたい」と思い直し、画角の広い標準ズームレンズ装着のカメラを手にしました。3秒間、ひたすらシャッターを切りました。

 レンズの向こうでは、シャンソン化粧品のG三好がファウルを受けていました。その瞬間の写真が、紙面に掲載されたのですが、標準ズームレンズの効果で残りの秒数「0・6」と明示された電光掲示板も入ったのです。結局、シャンソン化粧品はフリースローを認められず、猛抗議に入った訳ですが、私には笛のタイミングがどうだったかは、分かりません。撮影に必死でしたから。

 ただ、この「証拠」が訴える力は、自分でも感じました。判定は覆ることはなくても、事実は残る。あらためて写真の力を再確認し、さらに仕事へのやる気が湧いてきました。