男子90キロ級でベイカー茉秋(21=東海大)が2年ぶり2度目の優勝を飾った。

 8月の世界選手権では銅メダルを獲得。16年リオデジャネイロ五輪の代表争いを考え、「何が何でも優勝したかった。最後まであきらめず、こんなところじゃ負けられないと思っていた」と紅潮した顔で振り返った。

 出色の出来栄えだったのは、世界王者の郭同韓(韓国)に対峙(たいじ)した準決勝。互いに相手の長所を消すように組み手争いを続け、指導差でリードされても焦らない。「強い気持ちが体力、スタミナに現れた」と延長1分すぎの勝機を見逃さない。昨年大会で敗れた引き込み技に入る組み手を郭が取ると、ここぞの対応。逆に横に回って抑え込んで一本勝ちし、「世界チャンピオンに勝ってアピールできた」と力を発揮した。

 父が米国人のホープは、東海大浦安高3年時には高校3冠(高校選手権、金鷲旗、総体)、公式戦46戦連続一本勝ちなど最強を誇った逸材。世界の層が厚い90キロ級にあって、その存在感は増している。「五輪の優勝を勝ち取るんだ」と気持ちを高ぶらせていた。