男子100キロ級で世界王者の羽賀龍之介(24=旭化成)が凱旋(がいせん)試合を飾った。夏の世界選手権を初出場初優勝した本格派は、持ち味のキレ味鋭い内股で会場を沸かせる一方で、指導差、寝技で勝利する手堅い試合も展開。「冷静にやれた。反則勝ちもあったし、そのへんは成長している」とうなずいた。

 男子日本代表の井上康生監督を高校、大学と同じ道を歩み、得意技の内股も同じ。自然と後継者の期待が集まったホープは、度重なる故障を乗り越え、世界選手権、今大会と結果を残した。「プレッシャーは感じていない」と大会前には話していたが、その顔にはストレスによるヘルペスが2つあった。「プレッシャー感じていると言うとかっこわるいじゃないですか。感じてはいましたけど」と認め、重圧にも打ち勝ったことを自信にした。

 準決勝では鮮やかな内股で相手を沈めた。「『あの動画が出回って、もっともっと研究されるんだな』と思ったら冷めた部分あった」と冗談交じりに一本勝ちを評したが、同時に笑顔も。会場の盛り上がりに、「うれしいですね。もっと頑張らないと。子供にはもてるんですけどね…」と大人世代へのアピールも志していた。