史上初のアベックVだ! 男子シングルスで世界ランク5位の桃田賢斗(21=NTT東日本)が、ビクトル・アクセルセン(デンマーク)にストレート勝ちし、初優勝を果たした。女子シングルス決勝でも奥原希望(20=日本ユニシス)が、ロンドン五輪銀メダルの王儀涵(中国)をストレートで破った。今大会のシングルスを日本人が制するのは初。ともに1次リーグから決勝まで負けなしで頂点に立ち、来年のリオデジャネイロ五輪のメダル獲得へ大きな弾みをつけた。

 相手のスマッシュがネットにかかって試合が終わると「よっしゃー」とほえ、左手で力強くガッツポーズをつくった。「格式ある大きな大会で優勝できてうれしい」と笑顔があふれた。

 両脚にテーピングを施し、本来の動きではなかった。それでも得意のネット際へのショットで上回り、甘いロブを上げさせてスマッシュをたたき込んだ。第2ゲームでは、ネットぎりぎりに弧を描くように柔らかく落とす得意の「ヘアピンショット」で12点目を奪う。守備でも「決め球をしっかり取れたのが良かった」と、身長190センチのアクセルセンが繰り出すスマッシュを受け止めた。高い技術で相手のミスを誘った。

 名前の賢斗の由来は「スーパーマン」のクラーク・ケント。世界で一番強い人になるよう付けられた名にふさわしく、常に世界の頂点を見つめてきた。野球、サッカーなど世界で活躍する選手のように強気の発言を好んで発する。茶髪でおしゃれなアクセサリーを着けてプレーし「髪形も見てください」とアピールする。既にリオ五輪での目標を金メダルと公言。ビッグマウスを貫き、常に自分にプレッシャーをかけ続ける。

 直前に、同学年として刺激し合ってきた奥原が、女子のチャンピオンになった。12年には、世界ジュニア選手権でそろって日本初の世界一になっていた。「リオ五輪、そして次は東京。2人で優勝できるように頑張っていきたい」と、さらに大きな舞台で、アベック金メダルを再現する。

 ◆桃田賢斗(ももた・けんと)1994年(平6)9月1日、香川県三豊市生まれ。小1でバドミントンを始め、福島・富岡高3年の時に世界ジュニア選手権で日本人初の優勝。14年の国別対抗トマス杯で日本の初優勝に貢献。15年世界選手権では日本男子初の銅メダルを獲得。利き腕は左。175センチ、70キロ。

 ◆スーパーシリーズ 世界バドミントン連盟が08年から実施している大会。種目は男女シングルス、男女ダブルス、混合ダブルスがあり、今年は12戦。日本ではヨネックス・オープンが同シリーズに当たる。五輪や世界選手権に次ぐ大会といわれ、参加できるのは世界ランキング上位選手。スーパーシリーズ・ファイナルは同シリーズのポイントを集計し、各種目上位8人(組)が集結して頂点を争う。

 ◆バドミントンのリオ五輪への道 16年5月5日付の世界バドミントン連盟(BWF)ランキングに基づき、各種目の出場選手を選出する。男女シングルスは、1~16位に2人以上が入っていれば各国・地域で2人、1人の場合は1人、男女ダブルス、混合ダブルスは1~8位に2組以上がランクしていれば2組、1組は1組出場できる。