2部2位の関東学院大が、1部7位の専大を破り、4季ぶりの1部昇格を果たした。大学選手権6度優勝の名門ながら、07年に部員の不祥事で選手権を辞退。12年には2部降格し、低迷した。14年に就任した板井良太監督(52)のもと、選手の乱れた私生活の見直しと、FW陣の強化に着手。成果が実り、復活へ1歩踏み出した。

 小雨のラグビー場に水色の旗が激しくはためいた。関東学院大が3-7で迎えた後半12分。敵陣ゴール手前ラックから、NO8宮川智海(3年)がボールを取り出し、逆転トライ。同21分、29分にも得点を重ね、勝利をつかんだ。宮川は「自分の力で上がりたいと思って、取りきった」と充実の表情。板井監督は「苦しいこともあったが、こいつらが一生懸命やってくれた」と涙で声を詰まらせた。

 2年前、板井監督がまず取り組んだのが生活の見直しだ。寮は、床にペットボトルが転がり、朝食の時間に選手がそろわない「ルーズ」(板井監督)な状態だった。掃除の時間を設け、朝晩の食事の点呼など基本の規則を見直させた。「規律の面はラグビーに直結する」と高城佑太主将(4年)。誠実にプレーに取り組む姿勢につながった。

 OBの助けもあった。FW陣の強化のため、現ヤマハ発動機の山村らトップリーグに所属する先輩が何度も練習に訪れてくれた。後半、ゴールへ再三押し込んだFW陣の踏ん張りは、その成果。4季ぶりの1部では厳しい戦いが待つ。板井監督は「体を強くしないと。もっともっと丁寧にやっていく」と改革の手を緩めないつもりだ。【高場泉穂】