水球の男子日本代表は全勝対決となった地元中国との決戦に16-10で快勝。84年ロサンゼルス大会以来、32年ぶりに五輪切符を獲得した。

 世界初の「パスライン・ディフェンス」が日本を五輪に導いた。ゴールを争う球技で共通するのは、守備の時に相手選手とゴールの間に体を入れること。水球でも通常は相手を後方からマークする。しかし、これでは身体接触も多く、体格に劣る日本は不利になる。そこで相手の前に出て、パスコースに体を入れた。パスが通ればフリーでシュートを打たれるリスクもあるが、あえて「失点覚悟」と水球初の戦術に挑んだ。

 パスカットを増やし、日本の武器である速攻を生かすのも狙い。セットオフェンスでは、高さのある相手を崩すのは難しい。ミドルシュートも「壁」にはね返される。速攻でGKと1対1になれれば、ゴールチャンスは増える。完成度を上げるには、豊富な運動量と選手同士の連係が不可欠。今夏の世界選手権では「不完全」(大本監督)だったが、さらに修正を加えて最大の目標だったライバル中国戦の勝利につなげた。