あの最強王者が飛躍のきっかけだった!? 男子フリー57キロ級で初優勝を飾った樋口黎(19=日体大)が、今年初めの衝撃シーンを告白した。

 各競技の代表選手が集まる都内のナショナルトレーニングセンターの食堂で盗み見たのは、体操で世界選手権個人総合6連覇の内村航平の食事姿。なぜなら、樋口の大好物であるチョコ菓子「ブラックサンダー」好きとして有名で、野菜嫌いの極度の偏食も共通。ちょっとシンパシーを感じていたのだが「あれはさすがになかったです…」。内村は肉の付け合わせの野菜まで避ける徹底ぶりに「肉だけドーーンとあって…。自分はあそこまでの断トツの天才じゃない。1歩ずつ努力しないといけないんだ」と改心のきっかけになったという。

 ただ、すぐに是正とはいかず、決定打は6月の全日本体重別の計量で失格となったこと。「あの甘さが脳に快楽物質を出す」というブラックサンダーこそ1日4、5個から1、2個へと減らすのが限界だったが、食生活も「野菜を20%くらいは食べるようになった」と努力してきた。

 今大会は10月に右手甲の中手骨を骨折する全治3カ月のケガを負いながら、決勝の川野戦でも8-1と完勝した。右手の握力が普段の半分の20キロほどというハンディにも「腕取りも左から」と徹底して勝機を探り、勝負をものにした。そのセンスには08年北京五輪銅メダリストの湯元健一コーチも「五輪のメダルもいける才能がある」と太鼓判を押す。

 今大会の優勝で、来年にはリオデジャネイロ五輪の予選を戦うことになった。「内村ショック」から、さらに進化を遂げられるか。