フィギュアスケートの全日本選手権が今日25日、北海道・真駒内セキスイハイムアイスアリーナで開幕する。男子シングルのショートプログラム(SP)、フリー、合計点の世界最高得点保持者で4連覇がかかる羽生結弦(21=ANA)は最終調整後、ライバルを評して王者の風格を見せた。

 羽生が公式練習後のインタビューの場で、ライバルを次々と評した。「宇野選手はどんどん上がってくる」。「村上選手の4回転サルコーの確率は素晴らしいし、無良選手の4回転トーループの確率も素晴らしい。小塚さんのスケーティングも素晴らしいし、本当にどこを見ても素晴らしいスケーターだらけ」。

 その上で「僕は僕でどんどん上がっていけると思います」と言い切った。「自分がトップを張っていけるというプレッシャーをかけながら、やっていければ」。レベルの高さを認めながらも、日本一の座は渡さないつもりだ。

 初めて日本一になった思い出のリンクへの凱旋(がいせん)だ。12年、直前のGPファイナルで優勝した高橋大輔を破り、高3で初優勝を果たした。それから3年、今ではすっかり追われる立場になった。「高橋さんが引退されて、違った緊張感がある。今までの滑ってきた全日本とは違った感覚で臨んでいる」。王者として、負けられない別のプレッシャーがかかる。

 NHK杯、GPファイナルと2戦連続で世界最高得点をマークするなど好調をキープしてきたが、24日の練習ではジャンプで転倒、手をつくなど精彩を欠いた。ただここ2戦での「いいイメージ」は持ったまま。全日本選手権は国際スケート連盟(ISU)の公認記録には残らない大会だが、得点に「意識がないわけではない」。過去2戦と同じプログラムで、さらに納得のいく演技を目指す。【高場泉穂】

 ◆全日本選手権の男子連覇記録 4連覇以上は過去4人いる。佐藤信夫(1957~66年)は10連覇、佐野稔は5連覇(72~76年)。4連覇は有坂隆祐(40~48年、41~45年は中止)、小川勝(84~87年)の2人。