王者・明成(総体1位・宮城)が、史上3校目の3連覇に王手をかけた。先発5人全員が2桁得点と、圧倒的な攻撃力で中部大第一(愛知)を一蹴。第3クオーター(Q)から控え選手を起用する余裕も見せて、4度目の決勝進出を果たした。今日29日の決勝は、能代工(秋田)を91-78で破った土浦日大(茨城)と対戦する。

 隙すら見せず、明成が3連覇の扉に手をかけた。前日27日の準々決勝は第3Q序盤にもたつく場面があったが、1日で修正。19得点をたたき出した足立翔(かける=3年)は「今日は(第3Qの)出だしが良かった」と胸を張った。第2Qで56-33と23点リードしても、自慢の攻撃力で次々と得点を重ねていった。

 第1Q終了間際に、日本代表候補や世代別の代表に名を連ねる八村塁(3年)が、右ひざを痛めて1度ベンチに下がった。「(八村は)合宿でよくいなくなるし、八村抜きの練習はよくしていた」と足立。両チーム最多23得点の三上侑希(3年)は「自分が強い気持ちでチームを引っ張ろうと思っている」と言い、エースのアクシデントに、だれも動揺していなかった。

 八村にマークが集中すれば、外から三上らが3点シュート。ゴール下には八村以外の選手も飛び込んだ。先発5人全員が2桁得点した。昨年2年生だけで連覇したメンバーが、そのまま3年生になった。足立は「去年より緊張せずにやれている」。3連覇の重圧どころか、ここまで余裕を感じさせる戦いぶりだ。

 点差が大きく開いた第3Q途中からはレギュラーが順次ベンチに下がり、1、2年生の控え中心で戦った。主将の納見悠仁(3年)は「主力が休めたのは大きい」とうなずいた。第4Q残り1分からは、再び先発の5人がコートに立ち試合を締めた。

 宮城のほぼ単独チームとして出場した今秋の国体は、決勝で茨城に敗れた。その茨城は、今日29日に顔を合わせる土浦日大が主体だった。八村は「(ひざは)大丈夫。3連覇したい」と言葉に力を込めた。佐藤久夫コーチ(66)は「褒められるだけ褒めたいね」と笑った。過去3度進出した決勝は3戦全勝。秋のリベンジへの思いも心に秘め、偉業に挑む。【久野朗】

 ◆男子の3連覇以上 最多20回の優勝を誇る能代工が4回達成。74~76年、79~81年、87~89年、95~98年は史上初の4連覇を成し遂げた。06~08年には洛南(京都)がV3。明成が3連覇すれば男子史上3校目、延べ6度目となる。