女子は初日首位の高木美帆(21=日体大)が、初の女王に輝いた。500メートルで2位に入ると1000メートルは前日に続いて勝利し、2日間合計153・180点で初優勝した。約1週間前に行われた本職の全日本選手権は3大会連続で2位だったが、専門外でひと足先にタイトルを手にした。弱かった体幹を強化し、ぶれない滑りを手にしたことで進化につなげた。

 新女王が充実感を漂わせた。高木が初日の首位を守り抜き、初めて総合の表彰台の真ん中に立った。中長距離を主戦場にしており専門外の大会での初のタイトルだが、それこそが成長の証し。一番高い台にぴょんと飛び乗り、地元のファンの声援に両手を振って応えてみせた。「地元で勝てたのはうれしい。ここを目標にしていたわけではないので驚いてはいるが、やってきたことが力になってきたかな」と自信をみせた。

 真骨頂だった。500メートルを2位で首位のまま迎えた最終種目の1000メートル。インコーススタートで600メートルまではラップ(28秒34)を同走の押切美沙紀(富士急)に奪われたが、ラスト1周(400メートル)を伸びやかなスケーティングで持ち前の粘り腰を発揮。29秒58で逆転し、前日に引き続き優勝。タイトルをつかんだ。それでも「600メートルのラップが出ないことが課題。どう改善できるかを考えたい」と反省が口をついた。

 覚醒した。今季ナショナルチームに就任したオランダ人コーチの指導の下、弱かった体幹部分の強化に努めた。トレーニングだけでなく、スケーティング中も意識を体幹におき、滑りに安定感を持たせた。食事制限などと合わせて肉体改造につながり進化した。「体幹でキープできるようになり、楽に加速できるようになった」。

 今大会、日体大のワンピースではなく、海外転戦で着用するナショナルチームにより近い締め付けが強いワンピースで出場した。「ベストの状態で滑りたかった」。細部にまでこだわり、勝負に徹した。

 10年バンクーバー五輪後に陥った不振から脱却したが「復活ではない。新たな自分になれているのかな。来年もチャレンジしていきたい」。今後は代表権を得た来年2月の世界スプリント選手権(韓国)を辞退し、同2月の世界距離別選手権(ロシア)に照準を定める。新境地を開いたミポリンが、再び世界に打って出る。【松末守司】