上越総合技術(新潟)は昨年のチャンピオン・東福岡にフルセットにもつれ込む激戦を演じながらも1-2で敗れた。第1セットは25-21で先取したが、最高到達点342センチの超高校級エース・新井雄大(2年)がスタミナ切れを起こして止められると、流れは昨年の王者に傾いた。

 2連覇を狙う昨年の王者を、上越総合技術は大いに慌てさせた。第1セットを25-21で奪ってゲームの主導権を握る。立役者はエース新井だった。立ち上がりから飛ばして、途中までは誰も止めることができなかった。

 1-0で迎えた第2セット。ライトからクロスに打ち込んだスパイクは、アタックライン上に弾む。レフトからは、3枚ブロックのさらに上から右腕を振り切り、スパイクを決めた。「すご過ぎる選手です」と千葉賢一監督(36)は2年生エースを評した。

 ところが終盤、新井は息切れした。消耗を省みずに打ち続けたスパイクの威力は次第に落ちた。相手ブロックにつかまり始めると、イニシアチブも相手に渡した。試合後、タオルで顔を何回も覆って汗と涙をふいた新井は言う。「手応えはあったけれど、エースなので体力をつけて、レシーブ面も強化したい」。初体験の全国大会で得た自信と課題を話した。

 「いいゲームだった。来年につながる試合ができた」と千葉監督は話した。2年前の大会も先発で経験しているセッター猪俣友哉(3年)は「意外と全国で通用するな、と思った」と言う。司令塔の役割は、今回リベロで出場した弟史也(1年)に引き継ぐ。全国上位へ、上越総合技術の明日を託す。「弟はセンスがある」と信頼する史也へ「来年、頑張れ」と猪俣は声をかけた。

 先発メンバーの中に3年生は2人。大半の選手が残るだけに、来年以降に期待は膨らむ。新チームの主将に就任するエース新井は「自分がもっとチームを引っ張って、勝てるようにしたい」と巻き返しを誓った。

 千葉監督も「センターコート(準決勝以降)に立つためにチーム全体のレベルアップを図りたい」と決意を込めた。全国大会上位へ、上越総合技術は悔し涙から再スタートする。【涌井幹雄】