東海大仰星(大阪第1)が2大会ぶり4度目の優勝を飾った。桐蔭学園(神奈川)に1度は逆転を許したが、前半終了間際の29分にフランカー真野泰地主将(3年)のトライで19-17と再逆転。全国屈指の強豪にあって「谷間の世代」と言われたチームが大一番で、5トライを量産、37-31で日本一に輝いた。昨春の全国選抜大会、昨夏の全国7人制大会を含めて「3冠」。文句なしの“下克上”を成し遂げた。

 ゴール前5メートル地点のラック後方から、フランカー真野主将が左サイドに切れ込む。SH西久保のパスを受け、突進した。タックルを受けても倒れない。「みんなのためにも、あそこは倒れられません」。フォローの数人に背中を押され、ゴール下に飛び込んだ。前半29分、GKが楽々決まる場所にトライを決め、12-17から19-17に逆転した。

 流れを決めたトライの起点は3分前、敵陣10メートルライン付近のターンオーバーだった。相手ボールに2人、3人が絡んでボールを奪った。その後反則を誘い、ラインアウト、ゴール前スクラムとチャンスを広げ、得点した。守りから攻める。自分たちのお家芸だ。

 ロック横井、真野らの高校日本代表候補5人は、東福岡、桐蔭学園の6人に次ぐ今大会3番目の陣容だ。しかし、そんな3年が入学した13年春。学校関係者は「谷間の世代」と評した。常翔学園や大阪桐蔭といった大阪のライバル校に優秀な人材が集まっていた。

 「谷間と言われるのが、悔しかった。日本一なんて言葉、出ませんでした。ひたむきにやるしかなかった」と真野は言う。毎日ご飯2合分を昼食に食べ、ウエートトレーニングを徹底。守備も鍛えた。5対3の状況を設定し、もがいた。いかに守り、そこから攻めるか。不安が自信に変わったのは昨年3月の近畿大会準決勝。常翔学園に33-8で勝った。入学時の体重49キロだった岸岡が78キロになったのを筆頭に、軒並みビルドアップに成功していた。

 愚直で、ひたむきな“谷間の世代”が、史上2校目の高校3冠を成し遂げた。「僕らは強いと思ったことないし、正直、実感わかないんです。でも、スタンドのみんなと一緒に喜べるのは本当にうれしいです」。真野主将は照れたように笑った。【加藤裕一】

 ◆東海大仰星 1983年(昭58)に開校した男女共学の私立校。生徒数は1122人(うち女子386人)。ラグビー部は84年創部。部員数107人。優勝は4度目で、準優勝は1度。主な同部OBは大畑大介(元日本代表)、W杯日本代表木津武士(神戸製鋼)ら。野球部も強豪でOBに米大リーグの上原浩治(レッドソックス)ら。所在地は大阪府枚方市桜丘町60の1。揚村洋一郎校長。

 ◆ラグビー高校3冠 花園に加え、4月の全国選抜(00年度から)と7月の全国7人制(14年度から)の3タイトルを独占すること。14年度に東福岡が達成し、東海大仰星が2校目。