予選勝者で女子世界ランキング127位の大坂なおみ(18)が、4大大会初出場ながら3回戦進出を決めた。同21位で第18シードのエリナ・スビトリナ(ウクライナ)に6-4、6-4で、1時間40分のストレート勝ち。3回戦では全豪に2度優勝している元世界女王、ビクトリア・アザレンカ(ベラルーシ)と対戦する。日本女子が4大大会初出場で3回戦に進んだのは、64年全米の小幡陽子以来52年ぶり史上2人目。

 マッチポイント。大坂はこの日最速の時速193キロのサーブをたたき込み、最後は鋭いフォアハンドで、昨年の全仏8強の強豪を力ずくで破った。「本当にハッピーよ。ここまで来られるなんて思ってもみなかった」。相手と勝利の握手でペコリ、観客に小さく両手で手を振ってペコリ、ペコリとおじぎ。「日本流ね」と笑みがはじけた。

 初めて収容人員3000人という大型コートに入った。少し緊張したのか、スタートは1-3とリードを許した。しかし、そこから大坂のパワーが爆発する。一気に4ゲームを連取して逆転。最後は5-4からの自分のサービスゲームを、5度のジュースの末にキープした。第1セット後には腹部に違和感を覚え、控室で治療を受ける場面もあったが問題ない。第2セットも勝負どころでフォアの決定打を重ね、押し切った。

 大坂は16歳の時にスビトリナと対戦。14年10月、大阪で行われたジャパン女子オープンで逆転負けしていた。その時のことに話が向けられると、質問が終わらないうちに「それ以上、言わないで。最終セット4-1から負けたって言いたいんでしょ」。そう言いながら目をクリクリさせた。

 当時の大坂は265位。現在より138位も低い世界ランクにもかかわらず、31位の強豪に勝ちかけた。その自信は大きかった。「あの頃とショット自体は変わってないけど、今はもっとコートにボールを入れられるだけ」。わずか2年での進化に胸を張った。

 大型コートだけではない。フェデラーやシャラポワらトップ選手だけが呼ばれる最も大きな記者会見場が、第2の舞台となった。やりとりは1回戦終了後と同様、主に英語。「大きなとこは好きよ。次の試合も、一番大きなコートでやりたい」。次戦は、2度、全豪優勝の経験を持つアザレンカが相手だ。

 試合した2番コートは入場規制されるほどの超満員。たくさんの日本のファンが日の丸を振った。「いつか日本の代表になりたい」と言う大阪生まれ、米国育ちの18歳。「本当に日本と触れ合っているみたいだった」。初めての経験に、夢はどんどん広がっていく。【吉松忠弘】

 ◆日本女子の4大大会初出場勝利 過去日本女子は4大大会に53人が出場。大坂は54人目となる。そのうち初出場で勝利を挙げた選手はわずか15人で、大坂は16人目。初出場で2回勝って3回戦まで進んだのは、過去には64年全米の小幡陽子だけ。大坂は日本女子2人目の快挙となる。

 ◆WOWOW放送予定 22日午前8時55分~、午後4時50分~、WOWOWライブ。生中継。放送時間変更の場合あり。