高梨沙羅(19=クラレ)が合計257・2点で今季10勝目、通算40勝目を挙げた。連勝も9に伸ばし、自己最多を更新。W杯通算40勝は、ジャンプ種目の男女通じて単独3位となった。1回目に最長不倒の93・5メートルで首位につけ、2回目も93メートルで圧倒した。ダニエラ・イラシュコ(オーストリア)が238・9点で2位。勢藤優花(北海道メディカルスポーツ専門学校)が15位、伊藤有希(土屋ホーム)が20位、岩渕香里(松本大)は34位で2回目に進めなかった。

 高梨の強さは次元が違っていた。1回目、向かい風に乗りただ1人、90メートル超えの93・5メートルを飛ぶと、会場が感嘆の声であふれた。2回目もK点を大きく越えて93メートル。大ジャンプを2本そろえて圧倒し、今季11戦10勝目で表彰台の真ん中に立ったが、それでも満足はしていない。「タイミングの遅れが目立った」と、結果より、内容が気になって反省の言葉を口にした。

 対応力を見せた。4日、今季唯一のラージヒルのオスロでW杯ジャンプ台記録の137・5メートルを飛んだ。中1日での今大会の舞台はHS94メートルでW杯最小だが、サイズを問わず対応してみせた。W杯個人総合3連覇を逃し、もがき苦しんだ昨季。シーズンワースト8位に沈み、悔しさを味わったジャンプ台でもあったが、そんな苦い思い出を払拭(ふっしょく)した。

 4日に8連勝で、13~14年シーズンに樹立した自己最多7連勝の記録を塗り替えた。この日、2位イラシュコに2回合計の飛距離の単純比較で10メートル差をつけ、あっさりと更新。男子でW杯個人総合4度制覇の「ポーランドの英雄」マリシュと並んでいた通算勝利数も、単独3位の40勝目。また1つ、ジャンプ界の歴史に名を刻んだ。

 今季残り8戦。個人総合得点は1080点となり、首位をひた走る。「鳥人」と呼ばれたニッカネン(フィンランド)の46勝超えも視野に入れる。「今日出た課題をしっかりクリアしたい」。2季ぶりの女王奪回へ、無敵の19歳の勢いはとどまるところを知らない。