個人第11戦が行われ、渡部暁斗(北野建設)は4位に終わり、7戦ぶりに表彰台を逃した。

 好調のジャンプとは裏腹に、走りの調子が上がってこない。124・5メートルを飛んだ前半飛躍で3位につけた渡部暁は、逆転を期した後半距離で順位を落とした。トップと33秒差は十分に射程圏内だっただけに「もやもやが続いている」と浮かない顔だった。

 飛躍でトップに立った第9戦も距離で56秒差を逆転された。第10戦は距離で首位を猛追して2位に入り、自信を取り戻したかに思えたが、この日は不本意な走りに逆戻り。「トンネルを抜け切らない」とぼやいた。

 気がかりなのは不振の理由が分からない点だ。エネルギー不足を疑い、この日は試合前にしっかり炭水化物を取ったが、奏功せず「そこが原因じゃなかった」と首を振った。右手首を痛めた影響で乱れたフォームは前の試合で修正したはずだっただけに「自分でも分からない部分が多すぎる」とため息をついた。

 今は飛躍の調子がいいことが頼みの綱だ。好飛躍で上位につけ、走力がかみ合うのを待つしかない。「またチャンスがめぐってくるように、いいジャンプをするだけ」と気持ちを切り替えた。