沙羅ちゃんが負けた、連勝は10でストップした。高梨沙羅(19=クラレ)は1、2回目ともに91・5メートルで合計263・2点、第2戦以来11戦ぶりに2位に終わった。マヤ・ブティッチ(スロベニア)が267・7点で優勝した。高梨は個人総合得点を1260点に伸ばし、総合3位との差は622点、残り6戦での女王争いは同2位ダニエラ・イラシュコ(オーストリア)との一騎打ちとなる。

 ついに負けた。高梨にとってはまさかの1回目だった。91・5メートルでこの回の最長不倒も、飛型点が伸びず130・1点で2位。今季はここまで12戦連続1回目トップで、2回目を含めても1位を逃したのは2位となった第2戦2回目だけだった。勝ちパターンとは違う滑り出し、13戦目にして歯車が微妙に狂った。それでも1位とはわずか2・3点差。2回目も91・5メートルを飛び、逆転を祈ったが、1回目1位の地元ブティッチが2回目も91メートルをそろえ、4・5点差で優勝を逃した。

 苦手意識はないはずだった。リュブノのジャンプ台は、過去W杯6戦で4度優勝、2位2度の好成績を残している。だが、前日の公式練習では「この台は本当に難しいと、あらためて思った」と口にしていた。リュブノで90メートル超えを2回そろえたのは、12年以来4年ぶり。苦杯をなめたが、今季勝ち続けた技術力は証明した。

 敗れはしたが、個人総合得点は80点上乗せし、1260点まで伸ばした。総合3位のブティッチがこの日100点を加えて638点としたが、622点差。残す6戦では逆転不可能な差となった。総合Vの行方は、昨季女王で逆転連覇を狙う同2位イラシュコとの争いとなった。今日14日の第14戦で69点差以上離せば、自身3度目の総合Vが決まる。「開幕前は思っていなかったほど、今季はいい流れで来られている」と自信を深める高梨が、2季ぶりのクリスタルトロフィーへ、独走状態にあるのは変わらない。