国際陸連のラミン・ディアク前会長らによるドーピング隠蔽(いんぺい)に絡んだ汚職を捜査しているフランス司法当局が、8月のリオデジャネイロ五輪と2020年東京五輪の招致活動や投票のプロセスにも捜査対象を広げていると1日、英紙ガーディアンが報じた。国際オリンピック委員会(IOC)のアダムス広報部長は昨年から捜査に協力していることを認めたが「現時点で不正の証拠は何も出ていない」と説明した。

 東京五輪招致をめぐっては、ロシア陸上界のドーピング問題を調査した世界反ドーピング機関(WADA)の第三者委員会が1月に公表した報告書で、日本側が国際陸連に協賛金を支払った証言があると指摘。イスタンブールが立候補したトルコ側は400万ドル(約4億5600万円)から500万ドルの協賛金を支払わず、当時国際陸連会長でIOC委員だったディアク氏の支持を得られなかったとした。しかし同紙に不正の根拠を示す新たな事実の指摘はなく、東京側は疑惑を否定している。

 20年東京五輪のコーツ調整委員長は「情報がなく、捜査の経過を待つしかない」と述べ、理事会で審議する予定もないとした。ディアク前会長は昨年11月、IOCの名誉委員を辞任している。