世界6位の錦織圭(26=日清食品)が驚異の大逆転劇だ! 同16位のガエル・モンフィス(フランス)相手に、3本連続を含む計5本のマッチポイントすべてをはね返し、4-6、6-3、7-6のフルセットの激闘を制した。錦織は2年ぶりの4強入りで、念願のマスターズ大会初優勝に残り2勝と迫った。1日(日本時間2日午前8時以降)の準決勝では、同26位のニック・キリオス(オーストラリア)と対戦する。

 蒸し暑さでほおが赤くほてる。力の限り振り抜いたフォアのクロスが、相手コートに突き刺さった。約2時間半の消耗戦。5本のマッチポイントをはね返し、自分に訪れたマッチポイントは1本で決めた。「最後の方はメンタル的にも体力的もきつかった。ただ1ポイントずつ集中した」。勝った瞬間、錦織はつえのようにラケットで体を支え、数秒間動けなかった。

 敗退を覚悟した。最終セット4-5で、0-40。3本連続のマッチポイントを握られた。「ほぼ終わったと思った」。腹をくくったことで逆に力が抜けた。モンフィスのミスも手伝い、一気に追いついた。このゲーム、計4本のマッチポイントをはね返し、第12ゲームでも1本のマッチポイントを逃れる驚異の粘りで、勝利をたぐり寄せた。

 モンフィスの錦織対策に手を焼いた。相手は通常、緩く深いストロークにカウンターを織り交ぜるスタイルだが、第1セットからハードヒットで重圧をかけてきた。「序盤は相手の攻撃的なプレーに驚いた」。第2セットになると、飛ばしたモンフィスがペースを落とす。錦織は天性の修正能力でリズムに慣れ、逆転勝ちにつなげた。

 勝負強さは自他ともに認めるところ。フルセットの歴代勝率は今大会前までで7割7分7厘。ジョコビッチ、マリー、ボルグら名だたる強豪を抑えて歴代1位。加えて今季、タイブレークはこの日までで7勝1敗。「タイブレークはいいプレーができた。思い切り打つようにした」。

 これで4大大会に次ぐ規模のマスターズ大会で、7度目の4強入り。過去6回で決勝に進んだのは1回。14年マドリードオープンの準優勝が最高成績だ。「4大大会の前にマスターズ大会に優勝することが目標」。念願の初優勝に向け、大きな勝利を奪い取った。

<錦織の大逆転>

 ◆08年デルレービーチ国際準決勝 クエリー(米国)相手に、最終セットのタイブレーク3-6で3本連続のマッチポイントを握られながら、計4本のマッチポイントをはね返し逆転勝ち。決勝ではブレーク(米国)を下し、日本男子史上2人目のツアー優勝。

 ◆14年ソニーオープン4回戦 フェレール(スペイン)相手に、最終セットのタイブレークで5オールから、4度のマッチポイントを握られながら、すべてはね返して11-9と制した。その勢いで準々決勝では元世界王者フェデラー(スイス)を破る金星を挙げた。