モンゴルレスリング協会会長の元横綱朝青龍、ドルゴルスレン・ダグワドルジ氏(35)がほえた。同会長は20日、帰国する成田空港でリオデジャネイロ五輪でのメダルラッシュを宣言。世界選手権女子63キロ級優勝のバチェチェグ・ソロンゾンボルド(25)らを擁し、目標は金2個を含むメダル4個とぶち上げた。会長就任から3年、レスリング強国を復活させた同氏は、打倒日本を誓った。

 モンゴル航空のカウンター、私用で来日していた朝青龍会長が笑顔で現れた。リオデジャネイロ五輪世界予選第1戦(22~24日・ウランバートル)に出場する日本チームのコーチ陣と次々と握手して「頑張って」と声をかけた。「もちろん見るよ。うちでやる大会だからね」。世界予選を控えて、余裕をみせた。

 上機嫌なのは、理由がある。力を入れてきたレスリングの強化が、実ってきたからだ。「専用の大きな練習場を造った。レスリングクラブも3つ始めた。そこから強い選手が育つ」。昨年の世界選手権では金を含むメダル5個。もともと男子グレコはやらず、フリーと女子だけの数字だ。

 同会長の強気は、今年1月のヤリギン国際でさらに増した。女子58キロ級で、五輪3連覇中の伊調馨に22歳のプレブドルジが13年ぶりの土をつけた。「国内で3番手の選手だったけど、完勝だったね」と鼻高々に言い切ると「伊調も、もう少ししっかりしないとね」と、余裕の笑みさえ浮かべながら上から言い放った。

 リオの目標は「女子で金メダル2個、メダルは男女で4個」。特にソロンゾンボルドについては「優勝間違いなしだろう」と得意げに話した。昨年は同国協会の金銭問題が世界レスリング連合(UWW)で問題となったが、騒ぎも沈静化したようで「ちゃんと会長やってるよ」と平然。かつて同国の有望競技だったレスリングを「柔道と並んで期待が大きい」競技にまで復活させた同会長は「リオが楽しみだね」と笑みを浮かべた。【荻島弘一】

 ◆モンゴルの五輪メダル 64年東京大会の初出場から13大会で金2、銀9、銅13の計24個を獲得した。レスリング、柔道、ボクシングで計22個(他の2個は射撃)と圧倒的に格闘技が強い。金は08年北京大会柔道男子100キロ級のツブシンバヤルと同大会男子ボクシング54キロ級のバダルウーガン。初メダルは68年メキシコシティー大会レスリング・フリー87キロ級で横綱白鵬の父ムンフバトが獲得した。レスリングは80年モスクワ大会までに銀4、銅4個に輝いたが、その後低迷。12年ロンドン大会でソロンゾンボルドが32年ぶりにメダル(銅)を獲得した。