日本代表の乾友紀子(25=井村シンクロク)三井梨紗子(22=東京シンクロク)が08年北京大会以来の五輪メダルへ、好スタートを切った。自分たちで提案した天気をテーマにしたFRの新プログラムを初披露。92・8333点でTRと合計184・9290点のトップで今日5月1日の決勝に進んだ。五輪本番では最初の種目。ストーリー性のある新プログラムが、復活を目指す日本シンクロに勢いをもたらしそうだ。

 恐怖感を捨て去った。五輪本番用プログラムの初披露となったデュエットFR。乾、三井ともに不安は隠せない。井村ヘッドコーチ(HC)から「守っても仕方ない。最初からいけ」と指示を受ける。「びびらずに攻めて、勇気を持って泳げた」と乾。天気をテーマにしたストーリー性の高いプログラムを演じきった。

 昨夏の世界選手権では4位とウクライナに敗れ、メダルを逃した。世界選手権後、プログラムの変更を決めた井村HCから意見を求められた。複数の案の中で採用されたものが「天気」。嵐が起こり、一瞬太陽が差すも、また風が強くなる。最後は雲1つない晴天で終わる。低迷から復活を期す日本シンクロを象徴するようなストーリーになる。

 シンクロ人生で初めて自分たちが提案したプログラム。愛着は深い。三井が「1つ1つの動きに意味がある。感情は入れやすい」と言えば、乾も「やりがいがある」と話す。まだスピード、同調性ともに課題は山積みだが、井村HCは「起承転結と緩急がある」と一定の手ごたえをつかんだ。

 五輪本番の最初の演技は今回のデュエットFR。チームに勢いをつけるためにも重要な種目になる。今日1日の決勝は再びFRで競う。「これで五輪まで行くぞと自信になる演技をしたい」と三井。日本シンクロ界の復活に弾みをつけるような演技で、今大会を締める。【田口潤】