ブラジルサッカーの聖地で、五輪サッカーの決勝が行われるマラカナンスタジアムが、窮地に立たされている。現在、高い人気を誇るサッカー州リーグさえも開催されず、宝の持ち腐れとなっている。

 地元報道などによると、マラカナンはリオデジャネイロ州が管理するが、13年頃から運営をゼネコンに委託している。毎年10億円以上の赤字がかさみ、マラカナンとは別問題だが、政治家と建設業界の「膨大な建設費用」を巡る癒着が明るみに出てゼネコンが窮地に陥った。州も経済的な問題で、運営に消極的だ。その結果、運営主体は中ぶらりんの状態になっている。

 現在は組織委が五輪に向けて管理している。開閉会式のリハーサルなどで使用しているが、五輪閉幕後もしばらく利用できず、その間の収益は見込めない。

 その構造は東京五輪と重なる。1590億円という税金が投入される新国立競技場は、一般市民にとってその膨大な資金が具体的にどう使われるかは分かりづらい。また、組織委に7カ月間の使用中止を打診された神宮球場も、その間の収益減と補償費の問題が未解決だ。リオのように、うやむやにして五輪シーズンを迎えることだけは避けたいところだ。