日本代表のエース対決は8連覇を目指す宮城MAXの藤本怜央(32)に軍配が上がった。香西宏昭(27)を擁するNO EXCUSEに69-63で競り勝った。ハンブルガーSV(ドイツ)でも一緒にプレーする2人は開始から厳しいマークを受けながらも、藤本が42得点、香西が38得点と持ち味を存分に発揮した。準決勝もう1試合は千葉ホークスが57ー45で埼玉ライオンズを下した。

 試合終了と同時に藤本と香西は抱き合って健闘をたたえた。勝利の歓喜や敗戦の傷心よりも、お互いのリスペクトが深かった。試合後、勝った藤本がため息まじりに言った。「香西はやっぱりすごい。今、自分が一番信頼している選手。シュートが入るたびに頼れる男だと思った。鳥肌が立ちました」。

 お互い開始から激しいマークを受けながら、持ち味を存分に発揮してチームをけん引した。前半はともに19得点、チームも33-33で折り返した。後半開始直後に先行した宮城MAXが6点差で競り勝ったが、42得点の藤本に対して、香西も3ポイントシュートを6本決めて38得点。個人の内容はほぼ互角だった。

 ともにリオデジャネイロ・パラリンピックに出場する日本代表のエースで、ハンブルガーSV(ドイツ)では同僚でもあるが、直接対峙(たいじ)したことで目に見えなかったお互いの力量が見えた。「香西はいつでもシュートを決められる心の余裕がある。どんな状況下でも自分のやることにブレがない」と藤本。「頼もしい仲間が敵になるとやっかいだなと思った、いいチームでした」と香西は敗戦にも笑みを浮かべた。

 難敵を振り切って、8連覇に王手をかけた藤本は「決勝はどこが相手でも戦う準備をしっかりしておきたい」。シーズンを終えてドイツから帰国して1週間。疲労を抱えながらも、厳しい試合を乗り越えて、どこか心地よさそうだった。【首藤正徳】