スポーツで麻薬や銃社会から子どもを救う-。リオデジャネイロ市にあるファベーラ(貧民街)の1つ「シャクリーナ」に、バドミントンを通じて闇社会への転落を防ぐプロジェクト「ミラトゥスプロジェクト」がある。18歳まで11年間、児童養護施設で育ったセバスチャン・オリベイラさん(50)が「同じ人生を歩ませたくない」と98年から始めたボランティア活動だ。南米初の五輪開幕まで今日5日でちょうど3カ月。同プロジェクトから初のオリンピアン誕生も濃厚だ。

 バドミントンの素人だったオリベイラさんはサンバのリズムを利用した練習で足腰や、ショットの正確性を鍛える。独学の研究が実りプロジェクト初の五輪選手が生まれそうだ。オリベイラさんの実の息子、イゴール・コエリオ(19)と女子選手のロヘイニ・カロリネ(19)。同競技で五輪出場はブラジル初となる。

 第一人者だが、ブラジル代表の監督ではない。「ここの子どもたちを見ることが私の夢」と就任を断った。そんな功労者にもかかわらず「チケットが買えなかったら五輪が見られない」と苦笑いだった。

 資金援助はあるが、運営は困難を極める。理想の年間予算は6000万円以上だが、現実は1000万円弱。実力のある子どもを世界大会に連れて行くことができず、やめる子も出てきた。「取り組みを日本人にも知ってもらい、支援をお願いしたい」と訴えた。