強靱(きょうじん)なメンタルで2位に入り、五輪連続出場を決めた加藤遼平(22=コナミスポーツ)は「追い詰められると力を出せるタイプなので」と胸を張った。

 最終種目の鉄棒を前にチームメートの3位田中佑典(26)とは0・4点差。先に田中が15・900の高得点を出して、後がなくなった。

 同点の場合は、この日の得点で田中が2位。「計算して、15・600が必要なのは分かっていた。練習でもめったに出ない得点。ミスを恐れて縮こまっていては得点が伸びない。開き直って、失敗したらそれが実力と思ってやった」。最後は「ここでできなきゃ、リオでもできない」と覚悟を決めて演技スタート。わずかなミスも許されない状況でG難度の「カッシーナ」など離れ技を次々と決め、最後は伸身新月面の着地をピタリと決めた。

 平行棒と鉄棒で16点近くを稼げる田中や、床運動世界王者の白井健三(19=日体大)は、6月の全日本種目別後に選考される「チーム貢献度」での代表入りが有力。しかし、オールラウンダーの加藤は「個人総合枠」を逃すと五輪が遠ざかるピンチだった。ギリギリの状況での2位キープ。男子日本代表の水鳥寿思監督(35)は「あれを乗り越えたのは大きい。リオでも必ず力になる」と喜んだ。

 昨秋の世界選手権は、夏に靱帯(じんたい)を損傷した左足首に負担のかかる床運動と跳馬を回避した。直後にエース内村航平(27=コナミスポーツ)から言われたのは「来年(のリオ五輪)は、お前も全部(6種目)やるんだ」だった。加藤は「その方がリズムに乗れる」とオールラウンダーとしての自覚を見せた。3カ月後のリオ五輪、加藤は内村とともに日本の男子体操を引っ張る。