憧れの2020年東京五輪、そして夢のNBAへ-。今春に宮城・明成高校を卒業したバスケットボール日本代表候補の八村塁(18)が11日、都内の日本バスケットボール協会で会見した。昨年12月に全米大学体育協会(NCAA)の米ゴンザガ大への進学希望を表明していたが、進学の見通しが立ち、週末に渡米することになった。昨年末に選抜優勝大会で3連覇を達成した期待の星が、全米選手権で今季16強の強豪校からNBA入りを目指す。

 夢が現実となる。八村の表情に喜びの笑みがはじけた。「NCAAの規定をクリアすることができて、5月からゴンザガ大学のESLに行くことが決まりました。渡米は今週末にする予定」。昨年末に全米屈指の強豪、ゴンザガ大から熱心な勧誘を受け、進学への合意書を締結。入学のためには高校の評定平均値と大学進学適性テスト(SAT)の基準に合格しなければならないが、語学力の基準を満たしたためゴンザガ大“予備校”と呼べるESLで学ぶことが決まった。

 日本バスケ界の期待の星だ。ベナン人の父譲りの身長202センチの巨体ながらスピードあふれる動きを武器に、14年のU-17(17歳以下)世界選手権で得点王を獲得。高校生で唯一日本代表候補にも選出された。進学予定のゴンザガ大はNBAのジャズで活躍したジョン・ストックトン氏(54)らを輩出。昨年の全米選手権では8強、今年は16強。「日本のバスケットボール界を引っ張っていく存在になりたい」と意気込んだ。

 見据えるのは世界最高峰のNBA、そして東京五輪だ。「僕の目標はNBA選手になること。一番NBAに近いNCAAでやれるのはうれしい」と喜んだ。毎年のようにNBA全体ドラフト1位を輩出するリーグに所属することは何よりの近道。そして続けた。「東京五輪が決まって、意識するようになった。出たい気持ちが大きくなりました」と。今後は米国で勉強し、9月の正式入学に備える。「アメリカにいったら肉がいっぱい食べられると思う。それがすごい楽しみ」。ハングリー精神を胸に、海を渡る。【島根純】

 ◆八村塁(はちむら・るい)1998年(平10)2月8日、富山市生まれ。奥田中からバスケットボールを始める。明成では入学直後から主力。13年U-16日本代表でアジア選手権3位。14年U-17日本代表で世界選手権に出場し、平均得点22・1得点で得点王となる。日本代表候補にも選出され、15年12月には選抜優勝大会で3連覇。家族は両親、弟、妹2人。202センチ、102キロ。血液型A。

 ◆ゴンザガ大学 1887年創立の私立校。ワシントン州スポケーンにあり、学生数は約7700人。カトリック系の大学で中世ヨーロッパを思わせるれんが造りの建物が多い、自然豊かなキャンパス。バスケットボール部は強豪で有名で、主なOBにNBAで活躍したジョン・ストックトン氏、NBA現役のケリー・オリニクらがいる。