2020年東京五輪の招致疑惑で、日本オリンピック委員会(JOC)は近日中に外部の弁護士を入れた調査チームを立ち上げる。

 当時の招致委員会幹部の主張が食い違うなど、シンガポールのコンサルタント会社「ブラックタイディングス(BT)」と結んだ2億円超の契約については多くの疑問が残る。JOC自体が守秘義務を理由に契約書の開示に難色を示す中、どこまで真相に迫れるかが焦点となる。

 まず不透明なのが、契約の必要性を誰が判断し、決裁したのかという点だ。実務面でナンバー2の専務理事を務めた水野正人氏(ミズノ相談役会長)は19日の取材で、BT社や経営者タン氏の存在、契約の事実をいずれも知らなかったとし、契約書類にサインしたのも「私ではない」と一切の関与を否定した。

 一方で、実務トップの理事長だった竹田恒和JOC会長は13日時点で「(タン氏に)会ったことはないし、会社も知らない」と述べ、16日の衆院予算委員会でも契約は「売り込みがあって電通に実績を確認したところ、実績があると伺い、事務局で判断したと報告を受けている」と証言。だが、事務局長だった樋口修資明星大教授は17日の取材で「それはない。竹田さんがご存じないということはあり得ない」と語った。

 竹田氏はBT社の業務については、同予算委で「(招致活動で)情報収集と効果的なロビー活動の詰めに大いに役立った。最後の票読みと票獲得には欠かせないものだったと確認している」と説明し、極めて重要だったとの認識を示した。

 ただ、自身を含め、招致委幹部が一様に、当時は把握していなかったとする会社によってもたらされた情報を、招致委が重視したとの主張には違和感がある。幹部が契約先の実態を十分に認識しないまま巨額の契約を進めたのであれば、組織統治上の問題があると指摘する声も出ている。