念願の金メダルへ、脳から鍛える-。競泳のリオデジャネイロ五輪金メダル候補の萩野公介(21=東洋大)が25日、欧州長期合宿に出発した。現地ではレースを転戦しながらスペインで高地合宿を張り、そのまま決戦の地リオデジャネイロに入る。

 五輪閉幕まで続く長期合宿前、萩野は1冊の本を購入した。「勝負脳の鍛え方」(講談社現代新書、林成之著)。林氏は脳神経外科医で、08年北京五輪前から競泳日本代表をサポートし、北島の五輪2大会連続2冠にも貢献。先月の日本代表合宿でも、選手たちに勝負脳について講義した。

 子供の頃から怪物と言われながら、競り合いになると弱気になる。ライバルの瀬戸に対して自滅することも少なくなかったが、昨夏の右肘骨折を乗り越え、心の弱さを克服。3月のスペイン高地合宿では引退した北島氏と同部屋で、闘争心をたたき込まれた。強くなった心に「勝負脳」が加われば、さらに金メダルに近づく。「脳から最強にしたい。俺は強いんだと思ってレースに臨むことが素晴らしい勝負脳。北島さんもそうやって金メダルを取りに行った」。本番まで勝負の2カ月半。肉体と心とともに脳も鍛える。【田口潤】