世界ランク14位の日本が、2大会ぶりの五輪切符獲得へ幸先よいスタートを切った。同20位のベネズエラに3-1で逆転勝ちした。20歳のエース石川祐希(中大)が厳しいマークにあいながらも、清水邦広主将(29=パナソニック)に次ぐ19得点の活躍。相手の強打に苦しみながらも、大事な初戦での白星をもぎとった。今日29日は同19位の中国と対戦する。

 試合が始まってもいないのに体育館が歓声に包まれた。ウオーミングアップで石川が1本目のスパイクをたたきつける姿に、会場は「オオ~!」と早くも熱気を帯びた。第1セット2-1から最初のスパイクはブロックにかかったが、そこでも大歓声。期待を背に6-5からブロックで今大会の自身初得点を挙げると、両こぶしをぐっと握って雄たけびをあげた。

 マークはしつこかった。ブロックは必ず2枚。3枚に増える場面も少なくなかった。競った末に落とした第1セットでは、3本のスパイクをブロックされた。「いつも通りできなかった。先輩たちが声をかけてくれて(気合が)空回った部分があった」と苦笑い。第2セット以降は「僕は打ちきるポジション。そこだけ意識した」と平常心を心がけて右腕を振り、スパイクで15得点を挙げた。

 スパイクは最後まで威力が衰えない。14年12月から約3カ月間プレーしたイタリア・セリエAの強豪モデナでの経験が生きた。191センチの石川も、イタリアでは小柄な部類。毎日の練習も、すべてのスパイクを試合と同じパワーで跳ばないと簡単に止められた。かけたことがない負担で背中や肩、膝には常に疲労による痛みを抱えた。練習後のケアも日本ほど多くない。毎日最低30分のストレッチを欠かさず行いながら、シーズン中盤からは主力としてチームのプレーオフ決勝進出に貢献。1試合をこなすには十分すぎるタフさを培って今大会に臨んでいた。

 今日29日に対戦する中国は参加国の中で唯一、石川が対戦したことがない相手。それでも「いつもと同じようにやればいいと思えた」と不安はない。19得点とエースの仕事は果たしたが、ギアはまだまだ上げられる。【岡崎悠利】