リオデジャネイロ五輪に出場する7人制ラグビー女子日本代表が5月31日、フランスでのワールドシリーズ最終戦を終えて帰国した。竹内亜弥(29=アルカス熊谷)が最終メンバー12人に入れば、京大出身で初の女子五輪選手となる。近づく快挙にも「京大はいろいろなところで『初』になっている。自分が『初』って感覚はない」という。

 頭脳明晰(めいせき)だが、大学までバレーボール部に所属。文学部では哲学を専修し、8割を占める男子学生に囲まれて留年者が3割に及ぶ環境だった。「いろんなジャンルの変な人がたくさんいるので、自分もその1人なのかなと。当時から変人扱いでした」。厳しい倍率をくぐり、新潮社に入社すると22歳でラグビーを始めた。きっかけは大学4年時に見たアメフット部の試合。「コンタクトプレーをしたかった」のが一因だった。

 代表ではスクラムなどセットプレー全般での貢献を誓う。今回のフランス遠征で日本は5戦全敗。世界との差を痛感する一方で「自分自身が金メダルにふさわしい選手じゃないと意味がない」という信念がある。京大だけではなく全国に7校ある旧帝国大からもまだ、女子五輪選手は生まれていない。竹内がリオで歴史に名を刻む。【松本航】

 ◆竹内亜弥(たけうち・あや)1986年(昭61)8月5日、岐阜市生まれ。愛知・滝中、滝高、京大ではバレーボール部。大学卒業後に大手出版社の新潮社で社員(五輪までは休職扱い)として働く一方、ワセダクラブレディースでラグビーを始め、13年に日本代表初選出。世田谷レディースを経てアルカス熊谷の主将。167センチ、68キロ。

 ◆旧帝国大出身の五輪選手 北海道大、東北大、東大、名古屋大、京大、阪大、九州大の各大学によると、卒業生を含めて女子の五輪選手は存在しない。現在は名古屋大出身で陸上女子1万メートルの鈴木亜由子(24)が五輪派遣設定記録を突破しており、日本選手権8位入賞でリオ五輪出場が決まる。