【ウィンブルドン=吉松忠弘】世界6位の錦織圭(26=日清食品)が、爆弾サーブを軽くいなした。サーブで時速263キロの世界最速記録を持つ同124位のグロート(オーストラリア)に6-4、6-3、7-5で勝ち、2回戦では同547位のベネトー(フランス)と対戦する。

 テニスはサーブの速度じゃない、と言わんばかりに、錦織が爆弾サーブを軽く受け流した。得意のリターンで相手のサービスゲームを6度も破り「リターンが良かったおかげで、あれだけブレークできた。収穫になった」と振り返った。

 2週前のゲリー・ウェバー・オープンの1回戦で左脇腹を痛めて2回戦を前に棄権し、今大会に備えた。この日は悪化を防ぐため、サーブの速度を抑え、コントロールを重視。第2セット終了後、トレーナーを呼び治療を受けた。「まだ少し痛みがある。次の日の様子を見たい」。

 昨年と同じ行程を歩んでいる。同じゲリー・ウェバー・オープンで左ふくらはぎを痛め、準決勝を棄権し、大会に備えた。しかし、1回戦で3時間22分のフルセットの戦いを強いられ、勝ったものの代償は大きく、2回戦前に棄権した。

 昨年より1回戦を約1時間20分ほど短く、ストレートで終わらせたことはケガの箇所への負荷を考えても大きい。「3セットでタイブレークまで行かずに彼に勝ったのは、これ以上ない(でき)と思う」。不安は残るが、現状で最善の初戦突破だったことは間違いない。

 これまで4大大会本戦に26回出場し、ウィンブルドンだけ8強入りがない。「決して(自分に)ベストのコートではないが、ここは特別な場所。他の4大大会と同じように8強以上を目指したい」。4大大会すべてで8強入りすれば日本男子初の快挙となる。

 次戦は、ケガで547位まで世界ランクを落としているが、最高位(14年)25位のベネトーが相手だ。「今日よりストローク戦になる。リターンから攻めていきたい」。以前、錦織は「痛みはもう友達のようなもの」と言っていた。歯を食いしばり、2回戦突破に挑む。

 ◆WOWOW放送予定 29日午後7時半~、30日午前0時~WOWOWライブ。男女シングルス2回戦ほか。生中継。放送時間変更の場合あり。