世界6位の錦織圭(26=日清食品)が、2年連続での8強入りだ。左脇腹痛で途中棄権したウィンブルドン以来の復帰となった今大会で、同118位のラム(米国)に6-3、6-4のストレート勝ちでベスト8入り。準々決勝では同27位カロビッチ(クロアチア)と同40位のディミトロフ(ブルガリア)の勝者と対戦する。

 2回戦の不安定なプレーから、錦織にとって普通の試合に戻った。左脇腹痛からの復帰大会で、練習不足やケガ再発の不安から「100%ではない」。しかし、1度実戦を積んだだけに、この日は2回戦で6本のダブルフォールトを犯したサーブの威力、安定感でも初戦を上回った。

 状態は上向きだ。2回戦では、終盤にしか見せなかった時速190キロ台の直線的なサーブをスタートから放った。上体を反らすため、左脇腹に最も負荷がかかる縦回転の第2サーブも普通に打った。1度もサービスゲームを落とさない安定感が戻ってきた。

 2回戦後、「痛みはゼロではない」と話していた。この日は「そんなに痛みも出ていない」。犯したミスは、痛みよりも練習不足によるもの。タイミングやリズムが合わない、力んだものがほとんどだった。それでも得意のストロークの精度も戻り、28本の決定打を放ちストレート勝ちだ。

 準々決勝からが本番だ。2回戦からの2試合ともに、相手は世界100位以下。100%でなくとも、実力の差は明らかだ。準々決勝はカロビッチ、ディミトロフのどちらが来てもトップ50の選手。2、3回戦のように簡単にはいかない。

 今大会は、世界2位のマリー、同3位のフェデラー、同4位のナダルが、ケガなどで欠場。年頭に掲げたマスターズ初制覇の目標に、大きなチャンスだ。その夢に向けて、徐々に調子を上げた3回戦だった。