リオデジャネイロ五輪で4位と躍進した7人制ラグビー日本代表で唯一のクラブチーム選手だった副島亀里ララボウラティアナラ(33)が“ジャパニーズドリーム”をつかんだ。23日、トップリーグ(TL)のコカ・コーラ入団が発表された。土木工事をしながらプレーを続けた苦労人が、念願のTLでのプレーを実現した。この日、都内に全16チームの指揮官と主将らが集まり、今季の日程や開催概要が発表された。

 リオから凱旋(がいせん)帰国して数日で話は進んだ。報道陣に配られた全チームの選手名鑑にない。臼井監督は「以前から(プレーを)希望してくれていた。五輪での活躍もあって合意に至った。ここ数日でばたばたと決まった」と説明。副島は開幕3日前のこの日、チームに合流した。

 結婚を機に09年にフィジーから来日。TL入りは1度断たれた夢だった。7人制の佐賀代表で14年長崎国体で優勝し、2年前もコカ・コーラ入団の話があった。契約を目前にして右膝靱帯(じんたい)を損傷。移籍は立ち消えになった。住まいがある佐賀の土木工事会社「シライシ舗道」でフルタイムで働きながら、福岡のクラブチーム、玄海タンガロアでプレーを続けた。練習は火曜日と金曜日だけ。それ以外は朝7時から午後5時までの仕事の後、1人空き地で練習する日々を送っていた。

 4年前に自ら日本代表の瀬川ヘッドコーチへ売り込み、強化合宿に呼んでもらうところから始めた副島。リオに出発する際は「五輪なので会社から特別に休みをもらっています。(五輪が)終わったら仕事に戻ります」と笑顔を浮かべていた。約1カ月前まで工事現場にいた男が、五輪の活躍でプロ契約をつかみ取った。「ショックです」。その幸せを、副島は衝撃という言葉で表現した。【岡崎悠利】

 ◆副島亀里(そえじま・かめり)ララボウラティアナラ 1983年(昭58)6月1日生まれ。フィジー出身。結婚を機に09年に来日、13年に日本国籍を取得。14年長崎国体で優勝しMVP。リオ五輪のニュージーランド戦では後半残り1分で逆転につながるトライを記録。ポジションは7人制ではFW、15人制ではWTB。家族は日本人の妻と息子3人、娘1人。190センチ、94キロ。

 ◆リオ五輪でのラグビー7人制男子日本 1次リーグ初戦で優勝候補のニュージーランドを副島の同点トライなどで14-12で下し、英国には19-21と善戦。続くケニアを31-7で圧倒すると、準々決勝の強豪フランス戦は残り17秒で後藤(NEC)が逆転トライを決め、12-7で勝利。準決勝は優勝したフィジーに5-20、3位決定戦は南アフリカに14-54と完敗。それでも走り勝つスタイルを貫き、初実施の五輪で4位。