トップリーグ神戸製鋼は8月31日、9月2日パナソニック戦(午後7時半、神戸ユニバ)の出場メンバーを発表した。現在13連敗中と鬼門の王者相手にジム・マッケイ新ヘッドコーチ(HC=49)は前節NTTコミュニケーションズ戦(27-17で勝利)から先発FW2人の入れ替えを決断。この日は神戸市内で約2時間の調整を行った。

 適度な緊張感を保った練習後、マッケイHCは「フィニッシャー」という言葉を使う度に力を込めた。通常はトライを量産するエースなどに使用する「フィニッシャー」という単語。だが、マッケイHCの指揮下では「リザーブ」「控え選手」の代名詞になる。「今週、フィニッシャーに関して(スタッフで)いろいろな議論をした。彼らは最後の20~30分で試合を終わらせるのが役目。運動能力が高い選手が多くいる状態で試合を終われるようにしたい」。その信念の下、熟考してメンバーを選んだ。

 今節は中心選手であるフランカー安井、NO8谷口を「フィニッシャー」に配置転換。ラインアウトの核になる昨年W杯日本代表のロック伊藤と、突破力が際立つNO8バンリーベンを先発起用した。身長208センチのベッカーはフランカーに動かし、相手と接する回数を増やす。指揮官は「これまでと同じことをしていてもダメ。何か違うことをしないと」と言う。

 パナソニックは前節のヤマハ発動機戦でスクラムなどのFW戦に苦しみ、まさかの黒星発進。「ヤマハのようにプレッシャーをかけ続ければ、どこかで崩れる。(パナソニックが)優勝最有力なのは間違いないけれど、我々にとってはチャンス。ベストなチーム(優勝)になるためには、ベストなチームに勝たないといけない。ファイナル(決勝)というイメージで準備している」(マッケイHC)。

 パナソニックも昨年W杯日本代表5人が先発。前半から相手FWを力強く押し込み、終盤には機動力や運動量にたける「フィニッシャー」が白星をたぐり寄せられるか。スーパーラグビー・レッズのアシスタントコーチとして優勝を経験する新指揮官の手腕に注目だ。