東北育ちの逆輸入男が台風の目になる。Bリーグ1部の秋田ノーザンハピネッツが30日、秋田市内で練習を行った。今季、栃木から加入したPG安藤誓哉(24)は宮城・明成から明大に進み、海外に挑戦。カナダ、フィリピンと渡り歩き、日本へと戻ってきた。栃木では日本代表PG田臥勇太(35)とプレーし、薫陶を受けた“弟子”。世代別の日本代表でも活躍した次代のスター候補が新リーグで躍動する。

 まさに台風の目だ。吹き抜ける突風のように、コートを躍動する。181センチ、安藤のドリブルのリズムが変わった瞬間、守備陣が置き去りにされた。「中で自分が点を取っていって、流れをつくる。そうすれば相手が縮こまっていって、外にパスも出せる」。鋭いドライブでゴール下へと突っ込む。ゴールを決めて意識を自分へと向けさせれば、次は外のシューターを生かす。持って良し、回して良しの理想的な司令塔だ。

 逆輸入スターの道を歩む。昨季所属した栃木では同じポジションの日本代表田臥とプレー。日本人初のNBAプレーヤーに食事に連れて行ってもらうなどかわいがってもらった。自身も明大4年次で途中退部し、米国に挑戦。カナダのレインメンとプロ契約を結ぶなど活躍した。武者修行を終えて日本に戻り、「(田臥には)いろいろと話をしてもらった。緩急の使い方がすごい」と刺激を受けた。

 再び、東北の地で輝く。明成出身で09年のセンバツ優勝大会を制し、10年の高校総体では準優勝。U18の日本代表にも選出され、アジア選手権で得点王に輝いた。宮城から秋田へと場所は変わったが「戻ってきたなという感じ。能代カップにも毎年来ていたし、本当にやりやすい環境」と原点に戻ってきたと喜ぶ。趣味の温泉巡りにも絶好の場所と話し、「最近だと八幡平に行ってきました。人も少なくて、ゆったりできた。すごく良い場所」とすっかりなじんでいる。

 Bリーグ開幕まであと1カ月。移籍が決まり能代工出身の田臥からは「秋田のこともいっぱい教えてもらった」と開幕戦での激突を心待ちにしている。「強いメンタルで行く。下を向いたら終わりですからね。僕らが台風の目になりますよ」と意気込む。世代交代、覇権奪取へ。中心で嵐を起こす。【島根純】

 ◆安藤誓哉(あんどう・せいや)1992年(平4)7月15日、東京・江戸川区生まれ。明成から明大に進み、4年次にカナダのハリファクス・レインメンと契約し、NBLカナダ初の日本人選手となる。15年シーズンはフィリピンのメラルコ・ボルツでプレー。帰国し、同年12月から栃木に加入した。好きな食べ物は焼き肉、すし、ラーメン。好きなバスケ漫画は「スラムダンク」。181センチ、80キロ。背番号3。