【ニューヨーク8日=吉松忠弘】悲願の頂点まで残り2勝だ。テニスの4大大会最終戦、全米オープンで世界7位の錦織圭(26=日清食品)が9日(日本時間10日朝)、シングルス準決勝で3位のバブリンカ(スイス)と対戦する。勝って14年全米以来、自身2度目の4大大会決勝進出となれば、12日発表の最新世界ランキングで自己最高、日本男女通じて最高位の世界3位が確定する。

 2年ぶりに世界の頂が見えてきた。全米準々決勝という大舞台で、現在、王者ジョコビッチよりも強いといわれるマリーを下しての4強入り。バブリンカと対戦する準決勝に対しても、錦織の手応えは「マリー戦の経験が大きい。自信を持って臨める」と十分だ。

 フルセット、約4時間の激闘で疲れた体にむち打つかのように、準決勝前日のこの日も約1時間、しっかりと練習した。蒸し暑さが戻り、ベンチを日陰に移動させるなど、ハードな天候の中、バブリンカの武器バックハンドを想定し、チャン・コーチが何度も球を出した。

 打倒バブリンカの焦点は定まった。ボティーニ・コーチによると、カギは「焦らない。ミスを減らす。攻撃的に」ということになる。基本中の基本だが、全米準決勝という大舞台で、世界3位相手となると、この基本3原則が持つ意味は大きい。細かな作戦も基本の上に成り立つ。

 過去の対戦は錦織の2勝3敗。14年の準々決勝では、フルセットの死闘で勝った。その勢いで準決勝でジョコビッチを下し、アジア男子シングルス初の4大大会決勝に進んだ。「ボール(の弾み)とコート(のスピード)が合っている」という相性のいい舞台で、2年前の再現を狙う。

 もし勝てば、ジョコビッチ、マリーに次ぐ世界3位が確定する。準々決勝終了時点で、錦織の合計点は4875点で5位復帰が決定。決勝進出で最低でも5355点となる。敗れたバブリンカは4980点止まり。4回戦敗退のナダルの4940点も上回り、3位が決まる。

 2年前に置き忘れた悲願の初優勝まで残り2勝。バブリンカは決して楽な相手ではないが「とにかく落ち着いてプレーしたい」。大会の公式ページは、4時間のバトルで錦織の勝ちを予想している。

 ◆WOWOW放送予定 10日午前3時55分~、11日午前0時55分~、WOWOWライブ。男子シングルス準決勝ほか。生中継。放送時間変更の場合あり。