男子プロバスケットボールのBリーグが、国立代々木競技場でのアルバルク(A)東京-琉球ゴールデンキングス戦で開幕した。NBLとbjが統一されて迎えた歴史的一戦は終盤にもつれる大接戦。9132人の大歓声の中、A東京が80-75で琉球に競り勝った。Bリーグが掲げる「夢のアリーナ空間」の未来図を示すような演出と、両チームの激闘でバスケット新時代は幕を開けた。

 どちらに転ぶか分からない展開に、アリーナの興奮は頂点に達した。昨季NBL勝率1位のA東京と、bjリーグ王者琉球。第4クオーター(Q)残り1分32秒、A東京は3点差まで迫られた。しかし、元NBAプレーヤーのギャレットが冷静にボールを運び、相手の焦りを誘った。

 残り1分を切ったところで、激しいマークで琉球・岸本のトラベリングを誘い、A東京は攻撃権を取り返した。最後は、相手の反則で得たフリースローを2本成功させ、勝負を決めた。伊藤ヘッドコーチは「勝ち負け以上の試合。見る人をワクワクさせる試合ができた」と興奮気味だった。要所で3点シュートを決め、第3Qにノールックの背面パスで観客を沸かせた田中は「注目されたビッグゲームに勝つことができてよかった」と声を弾ませた。

 前評判の高かったA東京のリードに、なかなか会場は盛り上がらなかった。しかし、エリート集団に対し雑草軍団と言われた琉球の追い上げで、一気に熱気に包まれた。終わって見れば80-75という大接戦。大河正明チェアマンは「2つのリーグが1つになったことを、この試合で見せられた」と、開幕戦の意義を強調し、両チームを褒めたたえた。

 11年間分裂していた2つのリーグを統一し、Bリーグを創設した川淵三郎・初代チェアマンは目を潤ませていた。23年前、サッカーのJリーグを誕生させ、2つ目のプロスポーツの開幕に立ち会った。試合後のあいさつで「Bリーグが世界に冠たるリーグになるために、皆さん、力を貸してください」と観客席に呼びかけた。

 まばゆい光と音による華やかな演出と、それに応えるような選手の激闘で最後までもつれた試合。川淵氏は「ほとんど90点。100点とは言えないが、かなりの高得点」とまずは合格点をつけた。「9・22」。バスケット新時代はついに幕を開けた。【桝田朗】

 ◆Bリーグ 企業チーム中心のNBLとプロチームのみで構成されるbjの2リーグが統合されたバスケットボールの新リーグ。17年5月まで開催される。B1、B2ともに各18チームが東、中、西地区に6チームずつ分かれ、各地区で36試合、他地区と24試合、各チーム合計60試合のレギュラーシーズンを戦う。終了後は年間王座を決めるチャンピオンシップや残留プレーオフ、B1、B2、B3の間で入れ替え戦が行われる。B1、B2ともに登録選手は各チーム10人以上13人以内。外国人選手は3人まで、国籍取得選手が1人のみ認められている。

<Bリーグの試合>

 ◆競技人数 試合は5人で行い、1試合のエントリーは12人まで。各チーム外国人3人、国籍取得選手1人が認められている。

 ◆試合時間 各クオーター(Q)10分ごとの計40分で行う。第2Qが終わるとハーフタイム。

 ◆得点 通常のシュートが2点。3ポイントラインの外側からのシュートが3点。シュート時に反則を受けると、フリースローが2本(3点シュートの時は3本)与えられ、1回成功するごとに1点が加えられる。

 ◆オンザコート・ルール Bリーグでは、外国人の出場がQごとに最大2人までに制限される。試合前に、各Qで起用する外国人選手の人数を申告する。日本人及び国籍取得選手の場合は「0」。外国人1人+国籍取得選手の場合は「1」、外国人2人の場合は「2」(この場合国籍取得選手は出られない)。この数字の合計が4Qで「6」を超えないよう、ヘッドコーチは戦略を練らなければならない。