NBA下部リーグでのプレー経験を持つ千葉の富樫勇樹(23)が、25年ぶりのリーグ制覇を果たしたプロ野球広島の再現を狙う。この日の仙台戦は60-68と敗れたが、チーム最多16点と存在感を発揮。Bリーグの顔役として期待されるガードは、赤いユニホーム、企業母体を持たない共通点がある広島に触れ、「市民、県民に愛されるチームになれれば」と誓った。

 「ああいうのを目指したい」。富樫の声が熱を帯びた。話題はBリーグ開幕に向けたチームポスター。「赤といえば、野球は広島の…、サッカーは浦和の…、バスケは千葉のジェッツでしょ」。その一文を念頭に、「千葉も広島のように、企業が母体ではない。船橋市とも良い関係を築き、市民、県民に愛されるチームに」と思い描いた。

 千葉はNBL所属だった昨季の観客動員数で、日本バスケット界初の10万人を突破。地元密着のスポンサー集めなどで、千葉県、船橋市と「おらがチーム」を醸成してきた。Bリーグ開幕前には千葉ジェッツから「千葉ジェッツふなばし」への改称もした。

 24日の開幕戦が4936人、この日が3297人を動員した。試合はチームがシュート決定率32・2%と低調ななか、富樫は16得点。要所で4本の3点シュートを決めた。前日は19得点差で下した仙台に敗戦も、「まだ2試合。落ち込む必要はない」と顔を上げた。

 Bリーグ開幕を機に、ユニホームを赤にするチームも増えた。「赤=千葉」。その図式を定着させるには、優勝が一番だ。「赤も増えてきているので、その辺でもアピールできれば」。バスケ界の新たな1ページに、赤ヘル旋風ならぬ「千葉旋風」を巻き起こす。【阿部健吾】

 ◆富樫勇樹(とがし・ゆうき)1993年(平5)7月30日、新潟県新発田市生まれ。小1でミニバスケを始め、高校は米国のモントロス・クリスチャン校へ留学。12年にbjリーグ秋田に入団し、同年新人賞。13年は最多アシスト賞。14年には米NBAマーベリックス傘下レジェンズでプレーした。167センチ、65キロ。