男子プロバスケットボールBリーグの大河正明チェアマン(58)が27日、観客増に新たなプランをぶち上げた。22日からの開幕戦は、Bリーグ1部9会場中7会場で満員を記録するなど、昨季から倍増発進。開幕戦を総括した大河チェアマンは、それに満足せずリーグ事務局内にチケットセールス部隊を新設。リーグ主導で各クラブを指導していく方針を打ち出した。

 開幕戦はA東京-琉球の国立代々木競技場が約1万人規模だったとはいえ、平均4157人を記録した。昨季開幕戦の平均2100人に比べほぼ倍増。国立代々木競技場を除いた平均でも3512人で、約1・5倍を記録した。

 大河C 開幕戦のテレビ中継に加え、フェイスブックやインスタグラムの「いいね」、ツイッターのツイートなど12万件を超す反応があった。開幕戦の一晩で、各地の入場者が5割増えた。じわじわと盛り上げるのも大切だけど、非連続的にボンと来る方がインパクトがある。開幕戦の演出など投資の効果があった。

 フジテレビ系で生中継された開幕戦の関東地区の視聴率は5・3%。Bリーグはプロ野球巨人の開幕戦とデータを比較し、今後への可能性を見いだしていた。

 大河C 巨人戦と大きく違うのは、50歳以上の男女との比較。巨人戦が男性11・4%、女性7・9%に比べ、Bは2・0%と2・3%。これが20~34歳の男性だと巨人3・1%に対しBが5・9%。男女の4~12歳までだと巨人1・9%にB4・1%と逆転する。10~30代にどうやって見てもらうかを考えている。

 そのための取り組みが、チケットセールス部隊の新設だ。NBAをモデルに正式に立ち上げた。リーグ主導のやり方は、プロ野球やJリーグにもない試みだ。

 大河C チケットセールスのやり方を各クラブに伝授して、どこも満員にするぐらいの覚悟でやりたい。Bリーグにはプロ野球から日本におけるチケットセールスのNO・1が来ている。顧客データも蓄積して将来に生かしていく。

 ビデオ判定システムの導入や、開幕戦の電光掲示板に選手名や得点を表示するなどきめ細かいサービスで手本も示した。

 大河C 開幕戦では大方の予想以上に旧bjが頑張った。ビデオ判定など、わかりやすさも見せられた。10年以上もめていたバスケット界からようやく1つのリーグが生まれ、新しいお客さんがあれだけ盛り上げてくれた。最悪のところから始まったという意味で、違う感慨がある。【取材・構成=桝田朗】

 ◆大河正明(おおかわ・まさあき)1958年(昭33)5月31日生まれ。京都市出身。洛星中時代に全国中学校バスケットボール大会に出場。洛星高もバスケットボール部。京大から三菱銀行(現三菱東京UFJ銀行)に入行。95年にJリーグに出向し、10年に銀行を辞めJリーグ入り。12年には理事になったが、15年4月に川淵氏に請われBリーグ入り。同年9月からBリーグチェアマン。

 ◆NBAのチケットセールス 巨額のテレビ放送権料やスポンサー料を稼ぐNBAだが、最も力を入れているのはチケットセールス。1チームに40~50人のスタッフを抱え、積極的な仕掛けでチケットを売りさばく。そのノウハウはプロサッカーのMLSがNBAから専門家を招き、リーグ主導でチケットセールスチームを立ち上げたほど。今季ファイナルに進出したウォリアーズは、チケットだけで年間売り上げ100億円を超えたといわれている。