ラグビートップリーグで首位を走るヤマハ発動機が10月1日、第5節でリコー戦(東京・秩父宮ラグビー場)に臨む。開幕4連勝で最高のスタートダッシュを切り、10月の5週連続試合を前にエースのWTB伊東力(26)が戦列復帰した。悲願のリーグ優勝に向けて大きなプラス材料だ。

 エースが帰ってくる。伊東は開幕前に左膝内側靱帯(じんたい)を痛めて離脱していたが、今週はトップチームの練習に参加。リコー戦で出場する可能性が浮上し、伊東も「この1カ月間、試合に出られない悔しい思いをしてきたので、その思いをグラウンドで表現したいです」と話している。

 離脱中は下半身強化を見直した。痛みが引いて動けると確認して以降、40メートルのスプリント練習を故障以前の週10本から20本に増やした。ジャンプ系の練習も取り入れ、瞬発力強化と故障の再発を防ぐ体を作ってきた。「心強いFW陣とプレーできるのが楽しみ。その中で自分の強みのランを見せていきたいです」。

 チームは最高のスタートダッシュを切った。開幕戦で昨季王者パナソニックを24-21で破り、第4節では同2位の東芝をノートライに抑えて40-6と快勝した。4連勝で勝ち点19を積み上げて首位。2位には、同じく4連勝で同18のサントリーが控えている。

 リーグ初制覇に向けて、中盤戦はこの勢いを加速したいところだ。10月の5試合は、クボタ、NTTコミュニケーションズなど昨季リーグ8位以下の中堅チームとの対戦が続く。サントリーとの勝ち点差を考えると、取りこぼしはなく、3トライ差以上で得られるボーナス勝ち点も狙いたい。伊東は言った。「まずは勝つことが大切。チームの調子が良いだけに自分が出て足を引っ張らないよう、得点に絡むプレーでチームに貢献したいです」。

 今こそトライゲッターの出番だ。チームにとって、伊東にとって勝負の10月になる。【大野祥一】

 ◆伊東力(いとう・ちから)1990年(平2)1月11日、長崎市生まれ。小3から長崎中央RSで競技を始め、中学はソフトテニス部に所属。諫早農-龍谷大。12年、ヤマハ発動機入社。趣味はバイク。愛車はヤマハ発動機のSR400。家族は両親、兄、姉。173センチ。80キロ。