政府は30日、2020年東京五輪・パラリンピックのメインスタジアムとなる新国立競技場に関する関係閣僚会議を首相官邸で開き、施工する大成建設などの共同企業体(JV)と総工費約1490億円で近く工事請負契約を結ぶ方針を了承した。完成予定は19年11月末としている。

 議長の丸川珠代五輪相は会合後の記者会見で「着実な整備を図り、大会の成功に結び付けたい」と述べた。事業主体の日本スポーツ振興センター(JSC)が、JV側との交渉結果を報告。政府の建設計画では、総工費の上限は1550億円に設定されていた。JVは契約締結後、準備工事に入り、12月に本体工事に着手する予定。

 東京大会後の競技場の利用、運営についての検討状況も報告された。政府は民営化の方針を固めているが、建設に多額の税金が投入される新国立には「公的な使命が備わっている」(政府担当者)とし、事業者の運営には一定の制約をかける方向になっている。

 文部科学省の関係者によると、採算性が高くても、野球やサッカーなどの「プロチームの専用スタジアムにはしづらい」事情があり、スポーツの大会に音楽イベントなどをどう組み合わせれば収益と公共性を両立できるかを模索していく。

 陸上のトラックを残すかどうかの議論については、トラックを維持した場合、球技専用と比較して「収益が上がらないことが懸念される」と報告された。今後は競技団体の要望を再度探りつつ、民間事業者が描くビジネスモデルについて聞き取りを進める。