男子100キロ級で4月の全日本選抜体重別選手権を制したウルフ・アロン(20=東海大)が初優勝した。4試合を一本勝ちして迎えた決勝こそ、勝ちに徹して手堅く指導勝ちも、大学生では抜けた実力を証明。プロ野球広島の鈴木から拝借した「最高でーす」の一言で会場を笑わせた。

 「ライバル」はリオデジャネイロ五輪男子90キロ級金メダルのベイカーだ。東京都出身、中高大と同じ学校。父親が米国人で、スタミナ勝負の後半型も同じ。だからこそ、試合前日には「オレもまだまだ」と思い知らされた。入場許可証がないまま会場に来ると、渡されたのは来賓で来場するベイカーのもの。「同じハーフだからと言って…」と打ちひしがれた。そして「ここでは負けられない」。

 ベイカー、100キロ級銅の羽賀ら東海大にリオ五輪メダリストも多いが、「自分で取るまではメダルは触らない」と20年東京五輪へ燃えたぎる。国際大会につながる11月の講道館杯(千葉)がその1歩になる。