復帰後2シーズン目の浅田真央(26=中京大)が課題を残した。ショートプログラム(SP)2位で迎えたフリーで121・29点の2位にとどまり、合計186・16点の2位だった。調整遅れで、代名詞であるトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)を回避するなど難度を下げざるを得ない状態。2週間後に迫るグランプリシリーズ(GP)初戦に向け「焦ったほうがいい」と巻き返しを誓った。

 初披露のフリーを滑り終えると、浅田は悔しそうに首をひねった。「初めて滑ったせいか、余裕がなかった。試合感覚が薄れている中で緊張感もあり、コントロールできなかった」と苦笑いで反省を重ねた。

 曲はSPと同じ「リチュアルダンス」のオーケストラバージョン。「2つで1つ」の表現になると話していた通り、SPの最後と全く同じポーズから滑り出した。黒い鳥をイメージしたSPから一転、赤い衣装に身を包んで情熱的な女性を演じた。終盤のスピンやステップで加点を引き出したが、ジャンプではトリプルアクセルを回避し、他でもミスが重なったため得点は伸びない。「全力では滑れたが、今は自分の最高レベルではない」と悔しさを抑え、現状を受け止めた。

 ソチ五輪後の休養から復帰した昨季は初戦のジャパンオープンのフリーでいきなり自己ベストに約1点とせまる141・70点をマーク。続くGP初戦中国杯で優勝と好調でシーズンインした。1年前に比べ「遅れている」と認めていた通り、不安の残るスタートとなった。本人は口にしないが、裏には体調面の不安がある。佐藤信夫コーチは「本当はもっと負荷をかけていかないといけないが、まだそれができる段階ではない」とだけ明かした。

 2週間後のGPスケートアメリカに向け、直前までカナダで振り付けの修正を加えながら調整する予定だ。浅田は「焦った方がいい。早く自分の最高レベルで臨めるようにしたい」と自分にハッパを掛けた。