リーグ4連覇を目指す王者パナソニックが6勝目を挙げた。

 195センチ、125キロの超大型WTBタンゲレ・ナイヤラボロ(24)が3トライと爆発した。3-10と劣勢の前半29分に左隅へトライを奪って反撃ののろしを上げると、すぐ後のプレーでは中央付近で相手をなぎ倒して防御を突破。タックルにきた相手を跳ね飛ばして交代へ追い込む驚異のパワーを見せつけた。

 8-10で後半に入ると9分にペナルティーゴール(PG)で5点差とされたが、2分後に再びナイヤラボロがトライ。相手陣左の10メートルライン付近でパスを受けると、1人をはじき飛ばして猛然と直進。ゴール前でのタックルもかわし、左中間に逆転につながるトライを決めた。16分には自陣20メートル付近でパスをインターセプトし、そのままインゴールまで独走。力を存分に発揮し、マン・オブ・ザ・マッチに選ばれた。試合後は「みんなが(トライのために)してくれたことを、僕が形にしただけです」と謙虚に笑顔を見せた。

 今季パナソニックに加入した怪物はフィジー出身で、オーストラリアで人気がある13人制ラグビーで長くプレーしていた。14年にプロとなり、15人制に転向したばかり。スーパーラグビーのワラタス(オーストラリア)に入団すると、15年9月に早くもオーストラリア代表デビューを果たすなど才能が開花した。同年8月には世界選抜に選ばれて来日し、日本代表戦でも3トライと圧倒的な力を見せつけていた。

 ベンチプレスで140キロを上げる巨漢はラグビー選手の中でも特に目立つが、パナソニック本拠地である群馬・太田市の生活を「子どもがたくさんいて楽しい」と笑顔で話す好青年。フィジーにいる家族は最近農場を購入したといい、これから仕事をする予定だというが「隣にマリオットの高級ホテルがあるので、転売しちゃうかも」と若者らしい冗談を飛ばす一面も見せた。

 来季パナソニックでプレーするかは未定だというが、「動きが素早い日本の選手と対する、いい経験ができている」と充実の表情を見せた。この日は持ち前のパワーとスピードで、存在感を放った。