バレーボール男女日本代表の監督就任会見が26日、都内で行われた。男子の中垣内祐一監督(48)と女子の中田久美監督(51)が出席し、決意を表明した。中垣内監督は現場を3年間離れるブランクもありながら、推薦を受けて就任。現役時代は「ガイチ」の愛称で輝いたスターは、低迷する男子の2020年東京五輪での目標をメダル獲得に設定した。ともにチームが始動する来春から指揮を執る。

 久しぶりに浴びる無数のカメラのフラッシュに、中垣内監督は会見後「平気だろうと思っていましたが、誤りでした。緊張した」と冗談交じりに苦笑いした。自身が活躍した攻撃の中心ポジションであるオポジットは日本男子の課題。エース清水邦広の後継者を育てたい気持ちもある一方「オポジットに頼らない新しいシステムの構築も考えたい」と明かした。

 率直な気持ちを言葉にした。「正直、再びこの場所に戻ってきたことが不思議」。かつて日本代表コーチを務めていた12年に週刊誌に不倫を報じられた。そのことを念頭に会見では「ご迷惑をおかけした」と謝罪した。報道から3年間はバレーボールの現場を離れた。今年からプレミアリーグ堺のGMとして現場復帰する際も葛藤はあったが、バレーボールに恩返ししたい思いが強かった。「自分を育ててくれた」と感謝する日本代表。監督の推薦を断る理由はなかった。

 3年間は堺の経営母体、新日鉄住金で営業をした。ゼネコンを回り、鋼矢板などの建材を売った。仕事でバレーのことは一切出さなかった。営業先ではよく聞かれた。「中垣内って、バレーの中垣内選手の親戚?」「背が高いけど、なにかスポーツをしていたの?」。そんな質問にスポーツの経験はありません、と答えた。カリスマだった「ガイチ」の名を捨て、過去の自分と向き合った。「最後は人と人は信頼の勝負。バレーで自分がおろそかにしてきた誠実さが、大事だった」。ブランクと引き換えに、指導者に欠かせない資質を身につけた。

 コーチには外国人スタッフを招く予定だ。指導法は「選手に命令しない。選手自身が考え、行動できる接し方を」。東京五輪については「挑戦する以上メダルを取りたいと考えている」と目標を掲げた。現役時代とはひと味違う「ガイチ」が、低迷する日本男子の復活を託された。【岡崎悠利】